インドネシア コーヒー輸出 法律との闘い!!


2012.12.20

インドネシアの幹線道路でしばしば検問を見かけることがあります。車の検問も然りですが、バイクの検問もしています。

 

インドネシアの法律ではバイクを乗る際にヘッドライトを点灯させていなければいけないというものがあります。これは昼夜を問わずライダーには義務付られているのですが、うっかりライトをつけてない人、ランプの寿命がもったいないためつけていない人、きちんと点灯させる人様々です。

 

検問所がたつとその数百メートル手前でドライバー、ライダーたちに「検問をやってるぞ!!」と道端で合図を送る子供たち、少年たちを見ることがたまにあります。段ボールや洋服をやたらに振り回しているのです。慣れてくると「あ、検問やってるんだ!?」と気が付きます。

 

この少年たち、全くもって頼もしい限りです。こういった相互扶助の精神が人類の発展に大きく寄与しているのではないかと思います。

 

道端に気の利いた子供たちがいれば良いのですが、たいていはそんな運のいいことはなく、ランプがついていないと検問で罰金を払わされます。確か数万ルピア(日本円で数百円)だったと思います。

 

Pati市民の大勢の意見として、この「昼間でもバイクはランプをつけるべし」という法律は警察官の小遣い稼ぎとして受け取られているようで、悪評サクサクです。以前相棒のイカサンもランプ付け忘れで罰金を取られたことがあるのですが、ブーブー文句を言っていました。

 

彼に、かの有名な古代ギリシア哲学者ソクラテスの「悪法もまた法なり」という言葉を送ろうとしてやめました。

 

「悪法もまた法なり」というのは大インドネシア共和国の法律によってコーヒーを輸出できない、私のやりきれない心境にぴったりくるものだったからです

 

彼のこの格言は2500年の時空を超え、私の抜き差しならない事態をピタリと言い当てていました。

 

ソクラテス。逆から読んだらストライク。私の心のど真ん中に彼の格言は響きました。もう格言ではなく予言といっていいかもしれません。

 

 

さて、コーヒー生豆の輸出不可能問題の続きです。イカサンと連絡をとり、その晩話し合いをしましたが、あきらめるという結論は2人の間から出ませんでした。

 

方法の一つとして、Patiで焙煎をするということもありました。実はこの法律は生豆だけが対象となっており焙煎された豆は対象外で輸出は可能なのです。しかしいくつかの問題がありました。

 

まず、LJAのコピルアックのビジネスに関する基本的な考え方は「おいしいコーヒーをお客様にお届けする」ということです。いくらコピルアックが美味しいといってもベストな状態でお客様に提供できなければ意味がないのです。

 

コーヒーは、生豆を焙煎してから2週間くらいまでが飲みごろといわれています。Patiで焙煎しすぐに空輸したとしても、この期間で販売をすることは事実上不可能です。また、コーヒーは焙煎の仕方によって大きく味が変わると言われています。こちらにも焙煎装置というのはあるのですが、日本の焙煎技術のほうが格段に優れています。

 

そういった事情もあり、Patiで焙煎をするという選択肢はすぐに無くなりました。

 

やはり気豆を・・・・・。ということになるのですが、ここでこの「インドネシアからコーヒーの輸出が出来ない」という法律を簡単に解説すると以下のようになります。

 

「輸出者は輸出に際し税関に書類A~Hおよび“AEKI”の年会費を支払った証明書を提示しなければならない」。

 

書類A~Hの詳細は省略しますが、いわゆる会社の登記簿や納税証明書といった類のもので問題はありません。その他の書類も物理的に取得は可能かと思われるものです。しかしながら不可能なのは「AEKIの年会費を支払った証明書」でした。この一文が輸出を制限しているのです。

 

このAEKIとは、「Asosiasi Ekportir Kopi Indonesia(インドネシアコーヒー輸出協会)」という団体で、輸出者は必ずこの団体に所属し会員になっていなければなりません。そしてコーヒー生豆を輸出する際には会員はこの団体に1㎏あたりいくらかの利益を供給する必要があります。

 

まあよくある団体です。腹立たしいのですが規則なので仕方ありません。コピルアック生豆は高価な為、多少利益を取られても影響はさほどありません。つまりこの団体に入会をしてしまえばすべてこの問題は解決することになります。しかしながら、そうは問屋がおろしませんでした。

 

インドネシアの法令(Pasal)で「AEKIへの年会費支払証明書を提示すべし」という法令を見つけ、最初は「まあ何とかなりそうか」と思いました。心配だったのは入会費や年会費で莫大な金額を取られやしないかと思ったことくらいでした。

 

また、この協会は会員がコーヒー生豆を輸出するごとに自動的に利益が確保できるため、会員が増えるということは彼らの利益にもつながることになります。そのため新規の会員は“Selamat datang(英語に訳するとWelcome)!!”の状態かと思ったのです。

 

ところが状況は違いました。

 

イカサンにこの団体に電話してもらい入会の申し込みをしようとしたところ、このように言われました。

 

「AEKIに入会するには前年の輸出実績を証明できる公的書類を提示してください」

 

こちらは新規で輸出をしたいのでAEKIに入会したいのです。当然前年の実績はありません。こういったことをAEKIの職員に言っても、「前年の実績を・・・・」を繰り返すばかり。

 

結局のところ、この団体は新規での会員募集をしていないのであります。

 

「AEKIの年会費支払を提示すべし・・・・」。この一文我々をいらだたせるには十分でした。この広いインドネシアで大量のコーヒー生豆がある中でこの一文があるために輸出が出来ないとは・・・・。

 

ところで広いインドネシアで怒っているのは私やイカサンだけなの?? そんなことはないはずです。絶対に我々と同じように怒っている人々はいるはずです。

 

「怒りをパワーにかえろ!!」映画ロッキーで出てきたこの言葉を思いだしました。悪法もまた法なりという格言は既に我々の中から姿を消していました。

 

コーヒーの赤い実を採っています。これをLuwak(ジャコウネコ)に与えています。

Samapi Jumpa Lagi,

Koki