インドネシア 内需と輸出のバランス


2012.9.24

日経新聞の「私の履歴書」はたいてい目を通しております。

現在は新日鉄名誉会長の今井敬氏が執筆されています。その中で、中国の経済政策について短く触れられています。2008年のリーマンショック後にはインフラの整備等を含む内需拡大政策を取り始めたことを記憶しております。

中国はご存じの通り製造業を中心とした輸出大国です。ところが欧州危機で輸出はかなり減少してきております。

中国のバイク部品メーカーとは一部付き合いがあるのですが、その担当者が半年前に急きょアフリカの担当になり、ケニアに転勤することになりました。彼曰く、「もう欧州はバイクの部品需要は激減しており、今後はアフリカ、南米を中心とした営業体制にシフトしつつある」とのこと。

おそらくこういった産業が中国には多いのだと思います。つまり輸出中心の産業の場合、ある一時は調子が良くても外部要因が読めない分、リスクも非常に高くなってしまうのです。今回中国経済は欧州危機という外部要因で相当躓いたと推測できます。

さて、これを大いに手本としていると思われる国があります。それがインドネシアです。

一般的に輸出入の貿易政策として望ましいのは「自国製品が輸出されることは大歓迎」、反対に「他国から製品が輸入されるのはあまり好ましくない」という方向性です。

日本をはじめアメリカ、中国など多くの国がそうでしょう。

ところがインドネシアでは、「輸出が大歓迎」かと思えばそうではありません。輸出をするコモディティーや製品があれば国内消費に回したいという考えです。

例えば顕著な例は砂糖や塩、果物などです。こういったコモディティーはインドネシア国内でも多くの生産者が存在します。しかも安価な価格で供給が可能です。しかしその反面、供給量が需要に追い付かず一部は輸入に頼っているのが現状です。

そのような状況で仮に国内の生産者が輸出を拡大してしまえば、国内供給量をまかなうためにますます輸入量を増やさざるを得ないという事態が発生してしまい、輸出をある程度制限する必要が出てくる次第です。

以前ここで紹介したパパイヤなどもインドネシア国内の供給量が不足しているため結局タイからの輸入品が市場に多く出回っています。弊社の拠点のある中部ジャワのPatiではパパイヤは自生しているにもかかわらずです。

パパイヤはどうだかわかりませんが、コモディティーによっては輸出用の特別なライセンスが必要なものもあり、事実上輸出は不可能に近いものもあります。

供給者としてはかなり苦い思いをしております。国内向けは輸入によって価格が安価に保たれている。しかし、高値で売れるはずの輸出は制限されている・・・・。

そのためしばしばデモや暴動に近い騒動が発生することもあります。

短期的に見れば輸出は儲かります。中国はその良い例でしょう。しかし、安易に輸出で利益を追求すれば思わぬ外部要因で、大きく躓くことはインドネシア政府もよくわかっていると思います。中国をお手本にしていると思えるくらいです。

インドネシアは貿易会社、製造メーカー等で輸出事業にかかわる業者にはNIK(Nomor Induk Kepabean)という輸出ライセンス取得を義務付けています。実は2012年からライセンスの取得が厳しくなりました。以前は無料で、税関で登録できていたものが今年から有料になり、審査も厳しくなっております。

弊社は輸入用ライセンス、輸出用ライセンス、どちらも保有しておりますが、現在お問い合わせをいただいている案件のほとんどが「インドネシアから○○を輸出したいが代理で輸出できないか?」という案件です。つまりNIKの取得は困難な面もあるのです。

いずれこのインドネシアでの貿易ライセンス取得方法について記載したいと思います。相棒のイカサン曰く、「日本語だったら大丈夫でしょう」とのこと。

 

これは隣のJepara県で採れたフレッシュなドリアンです。真ん中は弊社のKopi Luwak(Robusta)です。

Sampai Jumpa Lagi,
Koki