インドネシア 豆腐について2


2012.11.15

人にはどうしても理解が及ばないことがいくつかあると思います。

 

例えば私は昔からアルコールがほとんど飲めないのですが、そんな私からすれば1杯数千円もする焼酎や、1本数万円もするワインの価値を理解することは出来ないでしょう。

 

また、ギャンブルに全く関心が無い私にとって、夜通しでマージャンをする人々の行動もまた、私の理解の及ばないものであります。

 

だいぶ前、年下の知人と道を歩いていた際、たまたまヒップホップのアパレルショップの前を通り過ぎました。

 

道すがらの会話で、彼がヒップホップやラップミュージックが好きだということが分かりました。いくつかのミュージシャンについて熱く語る彼に、「後でそのミュージシャンのお気に入りの曲をメールしてくれたらYouTubeで聞いてみるよ」と逃げてみたのですが、家に帰ると、20くらいのURLがメールで送られてきました。

 

せっかく教えてくれたのだからと、全てのYouTubeを見ることにしました。アメリカ、欧州、韓国、南米・・・。世界中のラップヒップホップを聞き、もうお腹いっぱいにはなったものの、その嗜好性はやはり私の理解をはるかに超えておりました。

 

ところでこのラップヒップホップミュージックですが、実はインドネシアに渡った後、1曲だけインドネシア版のそれを聞いたことがあります。名前は“Tahu Sumedang”(タァフゥ・スメダン)。

 

 

Tahuは昨日の話の続き、豆腐。Sumedngとはバンドゥンから東に車で1時間半ほど行ったところにある、西ジャワ州の都市の名前です。かなり山の上にあり、気温も中部ジャワと比べるとグッと低くなります。たまにひょうが降ると聞きました。

 

知人がこのSumedangからさらに山奥に入った村に住んでおり、何度か訪れる機会があったため、必然的にSumedangを通過していたのですが、この街は一つの特徴があります。

 

何かというと、美味しいTahuの産地として有名なのです。街中に多くのTahu屋があります。SumedangのTahuといえば日本でいうところの、名古屋のきしめんに該当するかもしれません。しかしいくら名古屋がきしめんで有名でも、きしめん屋がひしめいているわけではありません。

 

しかし、このSumedang、Tahu屋がまさにひしめいています。露店の3件に1件はTahu屋ではないか?と思われるくらいです。街の大きさはおそらく静岡県の掛川といった感じですが、それにしてもこのTahu屋の多さ、なかなかのものです。

 

インドネシア人がTahuを食べる機会はいろいろあります。最も一般的なのはPasar(市場)かWarung(屋台)で買うことです。また、例えば幹線道路沿いの渋滞ポイントではTahuを売りに来る人がしばしばおり、彼らから買って車中でおやつ代わりに食べることもあります。

 

ところがSumedangのTahuは、Patiで食べるTahuや渋滞中に買うTahuよりも味は明らかに美味しいのです。

 

衣に味がしっかりついており、適度な酸味と甘さが口の中に広がります。このTahu、普通のTahuとはまた別の次元の美味しさがあります。「きしめん」といえば名古屋が美味しいように、やはり“Tahu”といえばSumedangということになるでしょう。

 

Sumedang近郊に住むこの知人に、作り方が違うのか?と尋ねたところ、「作り方が普通のTahuとどう違うのか、詳しいことは分からない。しかしTahu Sumedangのラップヒップホップは知っている」とのこと。ちなみに相棒のイカサンもこの曲は知っていました。

 

それにしても、山の中にあるこの中堅都市、決して交通の便は良くありません。また、めぼしいアミューズメントが何もない割には観光客が結構多く、聞くところによると、彼らのお目当てはやはりTahuだそうです。

 

昨日、豆腐のマーケティングのことをブログに記載しました。インドネシア人からすれば、あの緑の「ザクとうふ」がなぜ売れるのか全く理解できないと思います。当然です。しかし、日本人からすると、このガンダムマーケティングはかなり効き目があったのは良く理解できます。

 

そして、SumedangのTahu。プロモーション、マーケティングは?? あの山奥の街にTahu目当ての観光客を呼び寄せているものは何? 

 

ラップヒップホップ“Tahu Sumedang”。 

 

・・・・・かどうかは残念ながらわかりません。このミュージックがただ単に、誰かが歌っただけの歌謡曲なのか。

 

それとも、Tahuで街興しを狙った誰かの巧妙なプロモーションとしてこの曲が作られ、インドネシア人の感性にビッタリハマったのか。

 

あたかも相模屋食料のガンダムマーケティングが、日本人のある人々の心をがっちりつかんだように・・・・。

 

いずれにしても、このラップヒップホップは一人の日本人の頭の中に住みついて、忘れた頃を見計らい、たまに踊りだします。

 

“Tahu Sumedang, Tahu Tahu Sumedang.  Rasanya dari Cina Tahu Sumedang!!・・・・・(Tahu Sumedang… この味中国から来たんだぜ!!)”

 

・・・・しばらく眠れない夜が続きそうです。

 

 

 

                       

Tahuと同じく大豆から作られた食品のTempe(テンペ)です。

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Sampai Jumpa Lagi,[full][/full]

Koki