2012.8.30
15年位前、携帯電話を持っている友人を見て、「これがなぜそんなにいいのか?」と不思議に思ったものです。
携帯電話が無くても生活に支障をきたすことはゼロでした。
しかし、今では携帯電話やスマートフォンが生活には欠かすことのできないものになっています。その利便性に気が付き、慣れてしまうともうそれなしにはいられなくなってしまうのでしょう。
いま身の回りにあり、生活に必要不可欠なものも、そのほとんどが、最初はそういった、「あっても無くてもどちらでもよいもの」だったのかもしれません。
今朝の日経新聞の朝刊に「インドネシア、FCへの規制強化 日系コンビニに逆風」という記事が出ていました。
地場の小売店への影響を考え、規制(品ぞろえや出店数制限)を強めるとのことでした。
初めて知ったのですが、コンビニに関して、インドネシアは外資の参入を認めていないとのことで、ローソンなどはライセンス供与というビジネス形態でコンビニビジネスに参入しているようです。
インドネシアの貿易に携わり、よく思うのがインドネシアは「急激な変化」をものすごく嫌うということです。
例えば、インドネシアの主要コモディティーであるコーヒーを例にしてみますと、昔からコーヒーに関しては「輸出規制」が設けられていました。数量制限ではなく、輸出者の数を制限し、新規のコーヒー輸出事業参入は事実上無理でした。
以前からコーヒー農家は政府に輸出ライセンス規制をなくすように要請、陳情していたのですがなかなか認められず、ついにスマトラ島のある一部の地域で暴動に発展する騒ぎが起こる等、危険な状態になった為、コーヒー輸出に関する法律を改正しました。
この影響で弊社もコーヒーの輸出ライセンスを取得できたのですが・・・・。
コーヒー農家はかなり安い値段でコーヒーを買いたたかれています。そのため、輸出に活路を見出したいと思うのはもっともなことです。
理屈ではコーヒー農家が自分たちの利益を守るため、規制緩和を政府に求めてもなかなか受け入れてもらえず、暴動騒ぎに発展。
つまり、それくらいの騒ぎになるまで政府はなかなか法律を変えません。おそらく政策が「現状維持」なのではないかと思います。
さて、コンビニの話です。
コンビニの形態のビジネス自体、外資に限らず現地企業もいろいろ制限を受けているようですが、政府が規制を強めて、地場産業を守ろうとする理由はよくわかります。
インドネシア政府の役人たちもコンビニに対しては勉強をしているはずです。国民に及ぼす良い影響、悪い影響、いろいろ吟味して、今回のように「規制を強める」という結論に達したのだと思います。
しかしながら、コンビニの利便性を知った人たちに後戻りを強制することは不可能です。「現状維持」から「規制緩和」までは非常にゆっくりとしたテンポになるのではないかと思います。
以前何回かに分けてToko Kecil(トコ・クチル=インドネシア特有の小売店)のことをこのブログで書きました。このToko Kecilは庶民の生活には欠かすことのできないものです。
しかし、コンビニが大々的に進出してくると、いずれはこういった伝統的な小売店は淘汰され、良くも悪くも人々の生活は変わります。ましてや24時間営業などが一般的になるとなおさら変化は避けられないでしょう。
私が以前住んでいた、Luboyo村のToko Kecilもいずれはこういった時代の波に飲み込まれてしまうのかと思うと、とても残念です。
Luboyo村の私の借家の写真です。こういったところにいきなりコンビニが出来たら驚きます。
Sampai Jumpa Lagi,
Koki