インドネシア Patiの魔術師!?


2012.12.10

今日は新聞の休刊日であったこともあり、日経ビジネスオンラインをゆっくり見ることが出来ました。その中で一つ面白い記事がありました。

「ジャカルタの黒魔術師」

黒魔術というとすぐに思い出す映画があります。「サンタリア」です。マーティン・シーン主演のこの映画、一人で見るにはあまりにも恐ろしすぎる映画です。この映画ではアフリカの黒魔術グループが登場します。呪いをかけてバッタバッタと人を殺してゆくのです。

あの恐怖の黒魔術師集団がジャカルタに!? もし本当であればジャカルタには近づかないほうがいいでしょう。

ところでインドネシアで暮らしていて思うのは、インドネシア人はこういった「呪い」とか「お化け」のような類の話が結構好きだなということです。アメリカ人はバンパイアを信じている人が多いと聞いたことがありますが、あれと同じ現象なのかもしれません。

相棒のイカサンはイスラム教徒でジャワ人です。祈りはモスクで行いますが、何かハプニングがあるとモスクではなく近所の魔術師のところへ出かけて原因を探ります。

妻が妊娠したと言えば、「何か悪い霊がとりついていないか?」と近所の魔術師のところに出かけ、「子どもの病気が治らない」といえばまた彼のもとに走ります。

あるとき彼の妻が、「夜寝ている時に誰かがしばらく足元に立っていた(気配がした)」という事件が起きました。それが幾夜か続いたためイカサンはいつもの魔術師のところへ行くことにしました。魔術師も話を聞いただけでは原因が分からず、結局彼とイカサンの家に行ったところ、「原因が分かった」と。

イカサンの家には古い井戸があるのですが、その中に小さな霊が住んでおり、彼らが悪さをしているとの見立て。魔術師のアドバイスにより悪霊封じのおまじないはこのようなものでした。

「まず、夜に口の中に大豆をたくさん入れなさい。そして井戸の周りを口の中の大豆をププッと吐き出しながら歩きなさい。この行為は誰にも見られてはいけない。なぜなら今度はその行為を見た人に悪霊が乗り移るからである」

もちろんイカサンは迷わずこの行為を行ったためか、その後幸いなことに彼の妻はめでたくも悪霊に悩まされることはなくなったのであります。

このような類の話はいくらでもあり、墓地=必ず亡霊が出る。と多くのPati市民は半ば本気で信じている様子です。これだけならまだいいのですが、厄介なのは「民間療法」というものです。おそらく医療に対する考え方というのはかなり日本とは異なるのかもしれません。

あるときPanjunanの事務所兼自宅で地元紙のJawa Posを読んでいました。インドネシアの新聞も日本の新聞と同じようにいわゆる「記事広告」があります。一見すると取材しているような記事なのですが、実は広告で企業がお金を払って出稿しているわけです。

いろいろな業種でこの記事広告を見かけます。車、バイク、レストランはかなりの頻度で出稿しているようですが、しばしば「薬」や「医療」を見かけます。インドネシア語の勉強も兼ねて極力隅々まで目を通すようにしているのですが、ある日「これはちょっと・・・・」という記事を見かけました。

その新聞はPanjunanにおいてきてしまって今は手元には無いのですが、内容は「これを食べれば末期がんも治る」といったものでした。たしか乾燥した果物か野菜だったと思うのですが、それを何か特殊な方法で加工して薬にし、服用すればがんが治るというようなことが書いてありました。私のインドネシア語も怪しいものでしたのでイカサンに内容があっているかどうか聞いてみたところ、概ねあっているとのこと。

「日本ではこんな広告は、新聞記事はもちろんのことインターネットを含め、あらゆる宣伝や媒体で受け入れられないぞ!?」という話を彼にしたところ、こういったことはインドネシアではまかり通っており、「言ったもの勝ち」という状況になっているようです。

彼から聞いた話では民間療法としてPapua州が発祥の「Sarang Semut=アリの巣」「Buah Merah=赤い花」などが有名で、いくつかのWebを見るとやはりがんに効くなどの効用がうたってあり、これを日本でやったら完全にアウトだろなと思った次第であります。

弊社は貿易会社なので、常々インドネシアの輸出入業務に携わっているのですが、インドネシアの税関の厳しい輸出入規制には毎度辟易としております。おそらく貿易に関する規制は日本よりも数段厳しいのではないでしょうか。ところが一方で、日本では一発アウトのような誇大広告はインドネシアでは規制を受ける気配を感じることはありません。

各国の政策というのはつくづく不思議なものだと感じます。

さて、今日の日経ビジネスオンラインの「ジャカルタの黒魔術」のオチ。詳細は記載しませんが、笑えました。是非ご一読を。

これは普通の果物です。薬ではありません。Blimbing(スターフルーツ)です。オレンジのような味がする不思議な食感の果物です。

Samapi Jumpa Lagi,

Koki