インドネシア 農薬のビジネス2


2012.11.13

新聞や雑誌を見ていると目を引く広告というのはあります。もちろんインターネットの広告も同じです。Googleの検索を利用している限りは広告が目に留まらない日はありません。

 

そのインターネットの広告に関して最近よく目に留まるのがFacebookの広告です。Facebookはご存じの通り世界最大級のソーシャルネットワークサービスで、このブログをご覧頂いている方の中にも、Facebookのアカウントをお持ちの方は多いかと思います。

 

このFacebookはご存じの通りページの右側に広告が出てきます。この中には実にいろいろなものがありますが、いわゆる大企業の広告というのを見た記憶がありません。私のページに張り付いている広告はほとんどがインドネシアの広告で、「中古車売ります」がかなり多いです。そして次に多いのが若いインドネシア人の女性の自己PRのようなものです。

 

なぜ私のページに若いインドネシア人の女性の自己PRの広告が出るのかよくわかりません。

 

最近はFacebookの広告であまり見なくなりましたが、昨年あたりは「○か月で998万円儲けました!!」というような広告がよくページで見かけました。それも1つの団体ではなく、いろいろな団体、会社、集団、個人のものです。

 

絶対にそんなうまい話はないとは思いつつも、ついついクリックして開いてしまうのですが、たいがいはいわゆる「情報商材」の類で、つまり、「あなたのお友達にこの情報冊子を販売してあげれば、あなたも○か月で998万円手に入れることが夢でもありません!!」といった内容です。

 

これは、ひょっとして!?

 

そうです、あのいわゆる「ねずみ講」にあたります。もちろんそれはズバリ広告には記載されていませんが、明らかにそれとわかる内容です。

 

数十年前にこういった手法で商品を販売することが流行しました。被害者をたくさん出したという話も聞いています。しかし、今もこの手法はまだ健在であるのだと、少し驚きました。

 

ところで、このいわゆる「ねずみ講」方式の販売、インドネシアでも存在します。販売する製品は、世界中共通しているようで、いわゆる日用品の類なのですが、以前Luboyo村に住んでいる時に、ある人から持ちかけられた「ねずみ講」の話があります。

 

それが実は「農薬」でした。 「農薬のねずみ講」??  そうなのです。

 

Luboyo村はPatiの街の中心から10㎞くらい離れたところにあります。ここまで離れた場所になると、水田やサトウキビ畑、Kangkung(空芯菜)等の野菜畑を多く見ることが出来ます。

 

農業従事者は朝早く、自転車でそれぞれの作業場に向かいます。彼らは多くの場合、金属製のタンクを背負っています。金属製のタンクには長いノズルが接続されています。この中には農薬が入っています。

 

つまり、それぞれの家で農薬を希釈し、金属製の背負い箱に詰め、それを背負い農場へ赴き作業をします。ここで問題なのが、農薬をどこで買うか?です。

 

確かにPatiの街の中心では農薬を販売しています。しかし、農場から街までは10㎞、20㎞、もしくはそれ以上離れている場合がほとんどです。しかも彼らの移動手段はバイクではなく、たいがい自転車です。もしくはこういった写真のような、Angkutanと呼ばれる小さな乗り合いバスを利用するわけです。

 

そのため、農業従事者各々が街に出て、まとまった量を購入するというのは難しいのです。しかも、多くの農薬を購入する資金的な余裕もありません。

 

そして、もちろん販売者はわざわざ小分けをして、各農家に運ぶような手間をかけることはしません。そういった事情から、彼らは基本的に大量の農薬を共同で購入し、それらを共同で保管しております。

 

ところが、この共同購入、保管方式というのはいろいろ面倒なことがあるようで、例えば「誰それは頻繁に農薬取り過ぎじゃないのか?」とか、「あの人は共同購入時に金払ったのか?」etc….

こういった事情から、小分けをされた農薬を、街中ではなく畑の近辺で購入するという需要は結構あるそうです。

 

そして、農家の収入の問題もあります。農家の具体的な収入については分からないのですが、やはり生活は貧しく、農作業が終わって時間のある人々はそれぞれ副業を持っています。例えば以前、ここで記載しましたJamu(ジャムウ=インドネシア伝統の健康飲料)の販売なども、農家がやっているケースもあります。

 

さて、問題の、「農薬のねずみ講」です。

 

つまり、農作業従事者には副業が必要です。そして、小分けをされた農薬というのは需要があります。つまり、農薬を同じ仲間に販売し、その仲間が別の仲間に販売し、そして彼の仲間に販売し・・・・・。を繰り返すわけです。

 

このビジネスをLuboyo村で行いたいという話だったわけです。

 

私の役割は、小分けされた農薬の在庫を持ち、最初の何人かの子供(ねずみ講でいうところの)に販売するというものです。私にこの話を持ってきたインドネシア人は私に熱く語りました。「あなたの子供になりたがっている人は、ごまんといる。つまりあなたは巨万の金持ちになることが出来る!!」と。

 

「あれ? この話、どっかで聞いたような・・・・」。

 

小分けした農薬を、街から遠く離れた場所で販売するという話には興味があったのですが、この怪しいビジネスをするつもりはなく、お断り申し上げました。

 

断られた彼は不思議そうに言いました。「なぜあなたはこんな千載一遇のチャンスをみすみす逃すんですか!!」と。

 

「このセリフもどこかで聞いたような・・・・」。

 

 

これはPatiではなく隣県のJeparaの水田です。こういった風景を中部ジャワでは至る所で見ることが出来ます。

 

Samapi Jumpa Lagi,

Koki