インドネシア コーヒーとコピルアック 続編


2012.12.18

日本からインドネシアに行く際、スーツケースにいろいろなものを詰めますが、最も多いのはPatiでお世話になっている村人へのお土産です。

 

以前この章でお話ししたようにHalal(ハラル=イスラム教徒が口にしてよい食品)の問題があるのでいつも無難にチョコレートをお土産としています。日本に住んでいるインドネシア人は「ふりかけ」や「じゃがりこ」などのスナック菓子を里帰りする際に好んでお土産として持って行きますが、ここら辺の食品についてHalalであるかどうか私自身、確信が持てない為お土産にするのをやめているのであります。

 

そして、お土産に次いで多いのが「書籍」です。特にコピルアックのビジネスを始める際には日本の食品衛生法や食品輸入の本などを買いあさり、インドネシアで熟読していました。

 

以前から食品業界では賞味期限の書き換えや産地偽装が問題になっていますが、ある食品関連のコンサルタントが書いた本で読んだところ、意図的に行う場合と、まったく意図せずに消費者からのクレームで食品メーカーが法令違反に気が付く場合があるとの記述を見たことがあります。

 

ところで、コピルアックはジャコウネコのフンを精製して生豆にされたものです。コーヒー生豆には変わりはないのですが、税関に「コーヒー生豆」として申告し、後から問題になった場合えらい騒ぎにならないとも限りません。おそらく「気が付きませんでした」では済まないはずです。

 

「LJA 何とかという業者はジャコウネコのフンからとれたコーヒーを普通のコーヒーと偽って日本に輸入した。けしからん!!」・・・・。と。

 

そのためこのビジネスのスタートは「コピルアックというジャコウネコのフンからとれた生豆を日本に輸入してもよろしいのでしょうか?」というお伺いを日本の税関にたてることからでした。仮に税関が「ダメ」ということになればビジネス自体が成り立たないことになります。

 

ここら辺の仕事は日本の乙仲業者でしたらハンドリングをしてくれます。もちろん有償ではありますが、きちんとした手続き方法をアドバイスしてくれ、通関に必要な書類作成も手伝っていただきます。

 

結果として問題なく通関出来たのですが、そのプロセスは結構複雑なものでした。特に一番気をもんだのが「農薬検査」です。検疫が無事に済んだ後、さらに農薬専門の検査が待ち構えています。1ロットにつき1検査ではなくカートンの全数を開け、そこから生豆を少量ずつ採取し、すべてのカートンを検査します。

 

この検査はインドネシアからの生豆のみに行われるようなのですが、以前「ガルバリル」という農薬が基準値以上インドネシア産生豆から検出されたようで、インドネシアからの生豆は全カートン検査が義務になっています。

 

弊社はJepara県にあるKeletという村で飼育されているLuwak(ルワック=ジャコウネコ)からとれたフンがついた豆をPatiにある弊社の精製所で生豆にしています。KeletでLuwakにコーヒーの赤い実を与えているわけなのですが、この赤い実に禁止農薬や基準値以上の農薬が含まれていたら問題です。

 

事前に彼らから「農薬は使用していない。農薬つきの赤い実はジャコウネコは食べない」と聞いています。もちろんこういった話はあてにならないことが多く、特にジャコウネコは農薬つきの赤い実を食べないというのは、イメージは出来るものの証拠はありません。

 

ちなみに、インドネシアの言葉で「Tidak apa apa(ティダ・アパ・アパ)」という言葉があります。ジャワ語では「Ora opo opo(オラ・オポ・オポ)」というのですが、意味は日本語に直すと「問題ない」です。私が彼らに「農薬は大丈夫ですか?」という話をすると、オラ・オポ・オポの大合唱。

 

私はインドネシアにいて何度も「Ora opo opoやTidak apa apa」に振り回されてきましたので、この頃にはもう彼らが発するOra opo opo、Tidak apa apaはあいさつレベルの意味以上は無いということは分かっていたのであります。

 

彼らが農薬を使用していないというのであれば、それを信じるしかなかったのですが、やはり初回の農薬検査は心配でした。

 

結局のところ、ジャコウネコのフンから精製した豆でも輸入は出来るということは分かり、ビジネスをスタートする段取りを開始しました。ジャコウネコのフンから生豆を取り出すというのは実際にやってみると結構大変な作業です。

 

いずれここら辺の話は別の機会にブログでお伝えしたいと思いますが、このジャコウネコのフンを精製するプロセスを立ち上げながらもう一つ重大な問題が発覚してしまいました。

 

ところで弊社のような貿易会社にとって最も重要なビジネス上のパートナーは乙仲業者、もしくはフォワダーと呼ばれる通関および運送をハンドリングする会社です。日本で最もメジャーな会社ですと日通航空や西鉄航空になるかと思いますが、大小かなりたくさんの会社が存在します。そしてもちろんインドネシアにも多くの乙仲業者が存在します。

 

星の数ほどある乙仲業者から信頼のおける会社と取引をするというのは結構大変なのです。これが身をもってわかったのはこのコピルアックのビジネスでも同じでした。

 

日本に輸入できるということが分かれば後はもう問題は無いはずです。そこでコピルアックの精製プロセスを立ち上げながら、中部ジャワの州都スマランに所在する、ある乙仲業者に日本へ輸出する際の見積を取ることにしました。

 

Patiにある弊社の事務所にコピルアック生豆輸出の為の打ち合わせ来て、彼らは言いました「オラ・オポ・オポ~!!」と。

 

私も彼らのオラ・オポ・オポを疑うことはありませんでした。ただ単にコーヒー生豆を詰めて日本にピュッと送るだけです。日本では通関できるのです。何の心配もしていませんでした。

 

ところが・・・・。油断しました。

 

あれだけティダ・アパ・アパやオラ・オポ・オポはあてにならないとわかっていたのに!!

 

このネコを写真に撮ったところで怒りは収まらないのであります。猫は気楽でいいもんです・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Samapi Jumpa Lagi,[full][/full]

Koki