2012.11.08
昨日の日経新聞の夕刊で、「トルコで行われる予定であった、ノルディックスキーのワールドカップ複合が財政上の理由で開催できないと、トルコ・スキー連盟は国際スキー連盟に通知した」との記事がありました。
開催予定日は12月初旬。約ひと月後のことです。
小さな記事でした。私自身、スキーもトルコも縁がないのですが、興味を引くには十分でした。
ワールドカップの開催地ともなれば、数年前には競技が行われる場所は決まっているはずです。競技者や各団体、関係企業も様々な準備をしてきており、この時点ではまだ競技はスタートしていないものの、1か月前となるともう大会はスタートしているも同然と推測できます。
遠方からの参加者や、応援者などはもう既に飛行機のチケットを購入し、ホテルの予約をしている人も多いはずです。
ところが、財政難で開催不可とは・・・・。
トルコのスキー連盟と国際スキー連盟の間に、いつからどのようなやり取りがありこういった発表になったのかよくわかりませんが、寝耳に水の話であれば関係者一同かなりショックだったのではないでしょうか。
この記事を読み思い出したのが、我々がコピルアックのビジネスを始める際の出来事でした。
Keletからフン付のパーチメントを購入する話がまとまり、精製をする敷地のめどはおおよそついていましたので、あとは人を探し、設備を入れるだけという段になりました。「さあやるぞ!!」と意気込んでいたところ、相棒のイカサンとギアント(彼はコピルアックの製造主任です)が「少し待ってくれ・・・・」とのこと。
「何を待つ必要がある?? とっとと前進すべし!!」という私の意見に彼らは、「いろいろ準備があって・・・・」。
話を聞いてみると、コピルアックのビジネスというのは「大金が動くビジネス」とインドネシア人は認識します。そのため、いきなりPanjunanで製造を始めてしまうと村人から嫉妬され、どのような影響があるかわからない。というものでした。
言われてみれば確かにその通りです。私の存在はPanjunan村では知られているものの、コピルアックの精製をするということは誰もまだ知らず、外国人である私がイカサンやギアントが組んでいきなり大金が動くと思われているビジネスを始めたら、確かに印象は良くありません。
そこで彼らに全てをゆだねしばらく時間を置くことにしました。
彼らはその間、近隣住民にいろいろ根回しをしてくれていたのですが、最終的な我々のゴールは「なるべく騒ぎ立てず、そっとしてほしい」というものでした。近所の人々には多少のお菓子や付け届けをあげ、焙煎したコピルアックを少し分け、時間をかけながらゆっくりと我々がPanjunanでコピルアックの精製をすることを周りに浸透させてゆきました。
また、幸いギアントの家族はこの村に代々住んでおり、村役場の人々とも旧知の仲で顔が効くこともあり、スムーズに精製を開始することが出来ました。
インドネシア流のこういった根回しはとても大切だと思います。外国の企業が異国で何かをしようとすると、「主従関係」を押し付けたり、やたら「管理」をしたがるケースがあるように思います。
しかし、私はこういったことをすることは意味がないことだと感じています。むしろ害になることのほうが多いと思っています。
現地のパートナーを信用しきり、全てを任せることが良いことだとは思いません。最も大切だと思うのは、彼らに信用され頼りにされるような人間に自分がなることだと考えています。
今回の根回しの件はイカサンとギアントに大変感謝しております。彼らに任せてよかったと心から思いました。
ところで、話はトルコのスキーに戻ります。
財政問題でトルコでの複合競技開催が不可能になったということで、インターネット上で痛烈な批判記事は無いかと思いうろうろしてみたのですが、ただ淡々と事実だけをニュースにしているにすぎず、そういった記事を見つけることは出来ませんでした。
ひょっとしたら、我々の知らないところでトルコ流の強烈な根回しがスキー協会に対して威力を発揮したのかもしれません。
コピルアックの精製の敷地です。
Samapi Jump Lagi,
Koki