インドネシア 人材ビジネス 後編


2012.12.05

先日日経新聞で「人材不足」に関する記事がありました。不景気の影響で職に就くことが困難な状況が発生している中で、人材が不足している業界があるとのこと。

その業界とはIT業界。介護、医療分野での人手不足という話は聞いたことがありますが、IT業界で人材が不足しているというのはあまりピンときませんでした。ところがこの記事を読んでいるうちに理由が分かりました。

このIT業界というのは日々ものすごい速さで進んでおり、少し前の技術がもう既に過去のものになってしまい、企業が新しい技術をもった人材を探そうとしてもなかなか見つからないとのこと。

例えばこの状況を私自身に置き換えてみるとよくわかります。今書いているこのブログはWordpressというブログシステムを利用して書かれております。ブログを始める前は、インターネットはメールとGoogleの検索に使用するだけという状態でした。

ところがブログを書き始めるとサーバー、画像送信、SEO、マーケティングの知識など新たに勉強しなければいけないことがたくさん出てきました。こういった知識を身につけながら、今から1年前の自分を振り返ってみると、明らかにインターネットの分野に関しては別人になっています。

ふと思うのは、「自分という人間を客観的に見た場合、自分を自分の会社に採用したいか?」ということです。仮に昔の自分と今の自分を比べてみて進歩が無ければ採用しようという気持ちにはなりません。

ITの業界でもおそらく、採用者と求職者の間にかなりのギャップがあるのかと思います。採用者が求職者を見て「昔の自分を見ているようだ」と思ったらおそらく採用することはないでしょう。

ところが、こういった最先端のIT技術を欲しがっている企業もあれば、「簡単なプログラムが出来る人を探している」という需要もあります。例えば私自身、現在Kopi LuwakのECサイトを運営しておりますが、Webのカスタマイズをする場合などでプログラミングが必要なときには「簡単なプログラムを安価でお願い出来る方と出会いたい」と思うことがしばしばあります。

そんな場合には、クラウドワークスのようなIT人材マッチングサイトで人を探し簡単なプログラムを依頼しております。仮にこういった出会いの場が無ければ、間違いなく私はほとほと困り果てていたでしょう。

人材の出会いの場、つまり人材マーケットというのは素晴らしいシステムであるとつくづく感じます。

さて、昨日の中部ジャワの教師不足の話です。「どうやって不足している教師を探すのか?」ということですが、結論は「効率的に探す方法はない」になります。もう、人づてで探してゆくというスタイルを取るしかないのです。

おそらくジャワ語を教えることを出来る人というのはある程度いるはずです。例えばPatiのシニア世代でしたら教師として供給可能な人は多くいるでしょう。ところが、「ジャワ語教師の需要はある。供給も出来る。しかし需要と供給の出会いの場が無い」という状況になっています。つまりマーケットが無いことになります。

もちろん、ある分野では人材マーケットは存在します。例えば女性のお手伝いさんをマレーシアやシンガポールに派遣する分野です。しかし、ほんの限られた分野でしかマーケットが存在せず、例えば日本の職安や就職情報誌のようなものはインドネシア、もしくは中部ジャワでは存在しないのではないかと思います。

日本の人材マーケットが世界でどれくらいのレベルにあるのかはよくわかりませんが、少なくともクラウドワークスのようなマーケットが出来て、私は非常に助かっています。

ハード面でも活躍する日本企業ですが、こういったソフト分野でもインドネシアに貢献できる日系企業が現れれば素晴らしいと思います。

・・・・。このブログを書きながら、以前こちらで「村のギャングリーダー」という題名でブログを書いたことを思い出しました。

この章では村のギャングスターがスマトラ島に金の盗掘に出かける話を書きました。実は彼から依頼をされたことが一つありました。

「違法採掘業者は賃金の未払いが発生する。つまり、作業後採掘された金を持ってトンずらしてしまう。仮に未払いが発生したら自分が子分の賃金も立て替えなければならない。それはあまりにリスクが高いので、アンタ金があるんだったら違法採掘業者と違法労働者をマッチングする仕事をやらないか??」彼の言うことはすぐに理解できました。

つまり、違法採掘業者は盗掘後に賃金を払いますが、前金で私が労働者に払い、私が違法採掘業者から金をもらってほしいということです。

1名あたりの労働者の賃金が約Rp7.000.000(約7万円)。1チーム10名として合計70万円・・・・。

宝くじにでも当たったら、さらにこれで雪だるま式に当選金を増やすのもいいかな?と夢のビジネスを思いつきました。

相棒のイカサンに「労働者からいくらマージンとろうか?」と尋ねたところ、彼は無言でイスラム寺院のほうへ歩いてゆきました。「Rp1.000.000くらいかな?」と彼の後姿が語っていました。

 

 

 

 

 

 

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村のイスラム寺院です。[full][/full]
Sampai Jumpa Lagi,[full][/full]

Koki